茨城県内で初となるマダニによる感染症の患者が確認されました。(令和7年8月7日茨城県発表)
ダニ媒介感染症について
ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するダニ(マダニ・ツツガムシ)に刺されることによって起こる感染症のことで、中には死亡例が報告されているものもあります。人が野外作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに刺されることがあります。ダニがウイルスや細菌などを保有している場合、刺された人が感染症を発症することがあることから注意が必要です。
主なダニ媒介感染症
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- フェヌイウイルス科バンダウイルス属の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスによる感染症です。
- 病原体を保有しているダニに刺されることによって感染することがほとんどですが、感染した動物(ペット等)やヒトからの感染も報告されています。
- 潜伏期間は6~14日です。
- 発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が主な症状です。頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状がみられることもあり、致命率は約30%とされています。
- 茨城県内においては、2025年8月に初めてSFTS症例の報告がありました。
日本紅斑熱
- 日本紅斑熱リケッチア(Rickettsia japonica)による感染症です。
- 病原体を保有しているマダニに刺されることによって感染します。
- 例年5~10月にかけて、報告数が増加しています。
- 潜伏期間は2~8日です。
- 主な症状は、発熱、発疹、刺し口の3つです。
頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症し、発疹は四肢から体幹に広がります。
つつが虫病
- つつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)による感染症です。
- 病原体を保有しているツツガムシ(ダニの一種)に刺されることによって感染します。
- 春~初夏、および秋~初冬の2つの発生ピークがあります。
- 潜伏期間は5~14日です。
- 主な症状は、発熱、発疹、刺し口の3つです。
39℃以上の高熱を伴って発症し、皮膚にはダニの刺し口がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹がみられるようになります。また、倦怠感、頭痛、リンパ節の腫脹がみられることも多いです。
マダニの特徴
マダニの体長は、種類にもよりますが、成虫では、吸血前で約2ミリメートル程で、吸血後は10~20ミリメートル程度にふくれあがります。
マダニに吸血されてもかゆみが少なく、気が付かないことがあります。マダニは、皮膚にしっかりと口先(口器)を突き刺し、くい込ませた状態で長時間吸血します。吸血期間は、数日ですが、長いものは10日間以上になることもあります。満腹になると自分から離れますが、それまではなかなか離れません。咬まれた場合は、無理に取らないようにしてください。マダニを潰したり、無理して取るとマダニの口先(口器)の一部が皮膚内に残って化膿したり、炎症を起こすことがあります。吸血中のマダニに気がついた時は、できるだけ医療機関(皮膚科)で処置をしてもらいましょう。
対策
マダニに吸血されないようにすることが大切です。
- 一番の予防は、草むらやヤブなどに入らない
- 野山では、むやみに草地に座らない、寝転がらない(特に、マダニの活動が盛んな春から秋にかけては注意しましょう)
- 野山の草むらやヤブなどのマダニが生息する場所に入る場合は、長袖・長ズボン・長靴・帽子・手袋などを着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出をできるだけ少なくしましょう。(下記の「マダニから身を守る服装」参照)
- 虫除け剤(ディートやイカリジンという有効成分を含むもの)には忌避効果が認められています。袖口などにもしっかりスプレーしましょう。※虫除け剤は、過敏な方や幼児への使用には注意が必要です。虫除け剤の説明書等を参照してください。
マダニから身を守る服装
農作業などで、やむを得ずマダニが生息する場所に入る場合は、下記のことに気をつけましょう。
- マダニから身を守るために、野外では、腕・足・首など、肌の露出を少なくする
- 首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着用する。
- シャツの袖口は軍手や手袋の中に入れる。
- シャツの裾はズボンの中に入れる。
- ハイキングなどで山林に入る場合は、ズボンの裾に靴下を被せる。
- 農作業や草刈などではズボンの裾は長靴の中に入れる。
- 明るい色の服を着る(マダニなどが確認しやすいです)。
- マダニが生息する場所では、半ズボンやサンダル履きはしない。
マダニに刺されたら
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、刺されたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあるので、医療機関(皮膚科)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。また、マダニに刺された後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けて下さい。