ノロウイルスとは
ノロウイルス感染症は、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に突然激しい嘔吐や下痢を引き起こす感染症です。長期免疫が成立しないため何度もかかります。
11月頃から流行がはじまり12〜2月にピークを迎えますが、1年を通して発生します。
原因ウイルスであるノロウイルスの増殖は人の腸管内のみですが、乾燥や熱にも強いうえに自然環境下でも長期間生存が可能で、 感染力が非常に強く、少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症します。
感染経路
ノロウイルスは主に口に入ることで感染しますが、感染者の便、嘔吐物が乾燥し空気中に広がったものを吸い込む、または表面に付着した物を口にすることでも感染します。
感染経路には、主に「食品からの感染」と「人からの感染」があります。
食品からの感染
- ノロウイルスに汚染された二枚貝(主に牡蠣(かき))等を生のまま、あるいは十分加熱されていない状態で食べた場合も感染します。
- ノロウイルスの感染者や、汚染された食品を調理した人の手指、調理器具を介して感染します。
人からの感染
- 感染者の嘔吐物・糞便には大量のウイルスがいるため、トイレの排便後、嘔吐物の処理後などに手指にウイルスが付着したまま、ドアノブ、水道の蛇口、洗い場などを触ると、そこにウイルスが付着します。さらに他の人が触れ、手指にウイルスが付着することにより感染を広げていきます。
- 感染者の便、嘔吐物が乾燥し空気中に広がったものを吸い込む、または表面に付着した物を口にすることでも感染します。
予防方法
ご家庭でできる予防対策、3つのポイントを徹底しましょう。また、普段から十分な睡眠や栄養を取り、体調を良好に保ちましょう。
手洗いのポイント
ノロウイルスの最も有効な感染予防は「手洗い」です。
- トイレの後、調理前後、食事前、嘔吐物や便の処理を行なった後、おむつ交換を行った後などは、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
- 爪の隙間にウイルスが入り込むのを防ぐためにも、爪は短く切りましょう。
- 手洗いの前には指輪や時計を外し、洗い残しがないようにしましょう。
- 石けんは十分に泡立て、爪ブラシ等も使用して手指を洗浄しましょう。
- 流水で泡を流した後は、清潔なタオル又はペーパータオルでよく手指を拭きましょう。また、タオルの共用はできるだけ避けましょう。
「食品からの感染」を防ぐポイント
既にノロウイルスに感染した人が食事の調理等をすると、食べ物にノロウイルスが付着し、それを食べた人が二次感染する可能性があります。
- 日ごろから健康管理を行うとともに、下痢や嘔吐等の症状がある場合は、直接食品を取り扱う作業を控えてください。
- ノロウイルスの感染力は、85℃・1分以上の加熱により失われます。汚染されている可能性がある食品や十分な加熱が必要な食品は、中心温度85から90℃で90秒以上加熱しましょう。
- まな板や包丁、食器、ふきん等は、熱湯(85℃以上)で1分の加熱消毒が有効です。
「人からの感染」を防ぐポイント
嘔吐物などの処理について
感染者の嘔吐物、便には、多量のノロウイルスが含まれており、またノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、二次感染を引き起こすことがあるため「すぐにふき取る」「乾燥させない」「消毒する」の3原則を守りましょう。
処理中・処理後には十分な換気を行うようにしてください。
- 嘔吐物等には素手で触れず、使い捨て手袋等を使用しましょう。
- 処理の際は使い捨てマスクを使用し、衣服も嘔吐物等で汚さないよう注意しましょう。
- 嘔吐物等(拭き取りに使った紙等も含む)は、ビニール袋に入れ、しっかりと口を密閉し、すぐに処分しましょう。ビニール袋を密閉する前は、嘔吐物等を消毒するため消毒薬も入れましょう。
- 全ての処理が完了したら、必ずよく手を洗いましょう。
消毒について
ノロウイルスはアルコールでは効果がありません。
- ノロウイルスの消毒には、必ず塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウムが成分に入っているもの)を使用しましょう。
- トイレのドアノブ等や調理器具の消毒には、塩素濃度0.02%(200ppm)の消毒液を使用して、浸すように拭き取りをします。
- 嘔吐物等で汚れた床等や、嘔吐物等自体の消毒は、さらに高濃度の0.1%(1000ppm)の消毒液を使用して、浸すように拭き取りをします。 消毒液の作り方はこちら。
- 色落ちする衣服等、塩素系漂白剤が使用できない物の場合は、よく下洗いをした後で、熱湯やスチームアイロン等の蒸気(85℃以上で1分間以上)で消毒をします。なお、下洗いをした洗面所にはノロウイルスが残っていますので、そこもきちんと消毒しましょう。
ノロウイルスに感染したら
ノロウイルスには、効果のある抗ウイルス薬やワクチンはありません。治療は症状緩和の対象療法になります。
- 感染を拡げないために、ご自身・ご家族や身近な方が感染した場合にも予防法をしっかり行いましょう。
- 脱水症になりやすいので、水分、栄養補給をしましょう。特に体力の弱い乳幼児や高齢者は気をつけましょう。
- 下痢止めは病気の回復を遅らせることがあるため、使用しないことが望ましいとされています。
- 症状が重く、脱水がひどい場合は医療機関を受診しましょう。
参 考(厚生労働省より)
ノロウイルスに関する Q&A(最終改訂:令和3年 11 月 19 日)