百日咳とは
百日咳は、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症で百日咳菌が原因となります。潜伏期は通常5~10日であり、経過は次の3段階に分けられます。
- カタル期(約2週間):乾いた咳や鼻水、微熱など風邪症状がみられ、徐々に咳が強くなっていきます。
- 痙咳期(約2~3週間):次第に咳が激しくなり、顔を真っ赤にしてコンコンと激しく発作性に咳込み、最後にヒューと音を立てて息を吸う百日咳特有の咳が出始め、痰を出しておさまるという症状を繰り返します。嘔吐や無呼吸発作を伴うことがあります。
- 回復期(約2~3週間):激しい咳は徐々におさまりますが、時折、発作性の咳がみられます。
1〜3の期間を経て、完治するまで2~3か月かかります。これが百日咳と言われる理由です。1歳以下の乳児、特に生後6 か月以下では肺炎、脳症を合併し重症になることがあるので注意が必要です。成人では、咳は長期間続きますが、比較的軽い症状で経過することが多く、受診・診断が遅れることがあります。
感染経路
患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌によって感染する飛沫感染と、菌がついた手指や物品(食器やおもちゃ、家具等)を触ったりなめたりすることで感染する接触感染です。
予防方法
子どもの定期予防接種を受けましょう。
百日咳はワクチンによる予防が効果的です。百日せきワクチンを含む五種混合ワクチンは生後2か月からうけられる定期予防接種です。予防接種をしていない新生児・乳児は、特に感染に対する注意が必要です。
基本的な感染対策をしましょう。
こまめな手洗い・うがい、症状のある大人はマスクの着用をしましょう。菌を持ち込まない、広げないことが大切です。
百日咳にかかったときは
医療機関を受診し、咽頭拭い液の検査をうけることでわかります。重症化予防や周囲への感染を抑えるため、疑わしい症状がある時は早めに医療機関を受診しましょう。百日咳に対する治療として、抗菌薬が有効です。通常、患者からの菌排出は咳の開始から約3週間持続しますが、適切な治療により、服用開始から5日後には菌の排出はほぼ陰性になります。咳に対して鎮咳去痰剤、場合により気管支拡張剤などの処方といった対症療法があります。
参考