こどもの健やかな成長のために
こどもにとって、両親の離婚はとても大きな出来事です。
こどもがそれを乗り越えて健やかに成長していけるよう、離婚をするときに親としてあらかじめ話し合っておくことに「養育費」と「親子交流(面会交流)」があります。
養育費とは
養育費とは、こどもが経済的・社会的に自立するまでに要する衣食住に必要な経費や教育費、医療費などです。
養育費の支払い義務は、親の生活に余力がなくても、自分と同じ生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。
養育費は、父母が離婚する前にきちんと話し合って決めておくことが大切です。離婚する際に取り決めることができなかった場合、こどもと同居している親は、離婚後こどもが経済的・社会的に自立するまでは、こどもと離れて暮らしている親に対して、いつでも養育費を請求することができます。
親子交流(面会交流)とは
親子交流(面会交流)とは、こどもと離れて暮らしているお父さんやお母さんが、こどもと定期的または継続的に会って話をしたり、一緒に遊んだりして交流することです。たとえ両親が離婚しても、こどもは父母のどちらからも愛されていると実感できることによって深い安心感と自尊心を育むことができます。
父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました(民法等改正)
父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わり、その責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。
2024年(令和6年)5月に民法等改正法が成立し、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールが見直されました。
この法律は、2026年(令和8年)5月までに施行されます。
親権・養育費・親子交流などに関する民法改正の主なポイント
親の責務に関するルールの明確化
親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。
こどもの人格の尊重
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。
こどもの利益のため、こどもの意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・努力義務
こどものために、お互いを尊重して協力し合うことが大切です。
下記のようなことは、このルールに違反する場合があります。※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。
- 暴力や相手を怖がらせるような言動
- 他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
- 理由なくこどもの住む場所を変えること
- 約束した親子の交流をさまたげること
親権に関するルールの見直し
1人だけが親権をもつ単独親権のほかに、離婚後に父母2人ともが親権をもつ共同親権の選択ができるようになります。
父母2人ともが親権をもつ共同親権の場合
毎日の生活に必要なこと、例えば食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
大切なことは父母2人で話し合う
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては、父母が話し合って決められます。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
※父母間の合意がない場合は、裁判所が関与します。
一方の親が決められる緊急のケース
暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
養育費の支払い確保に向けた変更点
こどもの生活を守るために、養育費を確実にしっかりと受け取れるように、新たなルールの創設や見直しがおこなわれました。
取り決めの実効性アップ
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって、一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
法定養育費とは
離婚のときに養育費の取り決めがなくても、こどもと暮らす親が、こどもと暮らしていない親へ養育費を請求できる制度です。
離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。
養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。
※法定養育費は、父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
裁判手続きがスムーズに
家庭裁判所は、養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために、収入情報の開示を命じることができることとしています。
また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きをおこなうことができるようになります。
安心・安全な親子交流の実現に向けた見直し
こどもの利益を最優先に、親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的におこなうことができます。
家庭裁判所は、こどもの利益を最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。
婚姻中別居の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどもの利益を最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらないときは家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。
父母以外の親族とこどもの交流
祖父母など、こどもとの間に親子関係のような親しい関係があり、こどもの利益のために特に必要があるといった場合は、家庭裁判所は、こどもが父母以外の親族との交流をおこなえるようにできます。
その他、民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)についての詳細は、下記ホームページやパンフレット等をご確認ください。
法務省ホームページ 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
パンフレット(父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました)
こども家庭庁 ひとり親家庭のためのポータルサイト
養育費や親子交流(面会交流)において、お困りごとがある場合は弁護士等の専門家にご相談ください。
つくばみらい市おやこ・まるまるサポートセンター「養育費等支援事業(弁護士によるオンライン相談)」
法テラス(日本司法支援センター)
養育費・親子交流相談支援センター(公益社団法人 家庭問題情報センター)