○つくばみらい市政治倫理条例

平成19年3月30日

条例第28号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳正な信託によるものであることを認識し、その担い手である市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)並びに市議会議員(以下「議員」という。)が市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、卑しくも自己の地位による影響力を不正に行使して自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信託に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等及び議員の政治倫理基準)

第2条 市長等及び議員は、市政に携わる責務を深く自覚し、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の奉仕者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 常に市民全体の奉仕者としての人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる報酬等も授受しないこと。

(3) 市並びに市が関係する公共事業、業務委託、物品納入及び使用資材の購入(以下「工事等」という。)に関して特定の業者の推薦又は紹介をするなど有利な取り計らいをしないこと。

(4) 市職員の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。

(5) 政治活動に関して会社その他の団体(政党及び政治団体を除く。)から寄附を受けないものとし、その後援団体についても同様とする。

(6) 市営施設等に入居し、又は入所することに関して推薦又は紹介等をしないこと。

(7) 市が行う認可、許可、命令に関して特定の企業、個人、団体等のために有利な取り計らいをしないこと。

2 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、第5条に定めるつくばみらい市政治倫理審査会に出席し、自ら潔い態度を持って疑惑の解明に当たるとともにその責任を明らかにしなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、自らも主権者として市政を担い公共の利益を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し次に掲げる働きかけを行ってはならない。

(1) 前条第1項第3号に規定する工事等に関して特定の業者の推薦又は紹介の依頼

(2) 前条第1項第4号に規定する市職員の採用に関して推薦又は紹介の依頼

(3) 前条第1項第6号に規定する市営施設等に入居、入所に関して推薦又は紹介の依頼

(4) 前条第1項第7号に規定する市が行う認可、許可、命令に関する有利な取り計らいの依頼

(5) その他飲食の供与等社会通念上疑惑を持たれるおそれのある行為

(工事等に関する遵守事項)

第4条 市長等及び議員の配偶者、1親等又は同居の親族、市長等及び議員が役員をしている企業並びに実質的に経営に携わる企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第92条の2、第142条第166条第3項第180条の5第7項の規定を尊重し、市及び市が関係する団体が行う工事の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。ただし、工事の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約にあっては同一年度内130万円未満の契約並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体に障害を有する者が、市及び市等が関係する団体が主催する事業に参加するための送迎に係る市との業務委託契約については適用しないものとする。

2 市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため市長等及び当該議員、その配偶者、1親等又は同居の親族が役員をしている企業並びに実質的に経営に携わる企業について市及び市が関係する団体が行う工事の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約の辞退届を提出しなければならない。

3 前2項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは次に掲げるものをいう。

(1) 市長等及び議員、その配偶者、1親等又は同居の親族が資本金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業

(2) 市長等及び議員が年間5万円以上の報酬を受けている企業

(3) 市長等及び議員、その配偶者、1親等又は同居の親族がその経営方針の決定に関与している企業

4 第2項に規定する辞退届は、市長等及び議員に辞退届の提出義務が生じた日から30日以内に市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。

5 議長は、議員から提出のあった辞退届の写しを速やかに市長に送付しなければならない。

6 市長は、辞退届の提出状況を市広報紙等で公表するものとする。

(政治倫理審査会の設置)

第5条 政治倫理確立のため必要な事項の調査、審査その他の処理を行うため、法第138条の4第3項の規定に基づき、つくばみらい市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、市民から次条に基づく調査請求があった場合又は第9条第1項の規定により調査を求められた場合は、市長等及び議員並びに関係者に対し事情聴取若しくは収入等報告書の提出など必要な調査をすることができる。

3 審査会は、委員5人以内で組織し、委員は地方自治の本旨に理解があり、かつ、政治倫理に関し専門的知識を有する者及び法第18条に定める選挙権を有する市民(以下「有権者」という。)で、公募に応じた者の中から議会の同意を得て市長が委嘱する。

4 審査会の委員の任期は2年とし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、任期が満了した場合においては、後任の委員が任命されるまでの間その職務を行う。

5 審査会の会議は公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは出席委員の3分の2以上の同意を必要とする。

6 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

7 この条例に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は別に規則で定める。

(市民の調査請求権)

第6条 市民は、市長等又は議員が第2条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるときは、有権者の200分の1以上の署名をもってこれを証する資料を添えて、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査の請求をすることができる。

2 前項の規定により調査を請求されたときは、議長は、調査請求書と添付書類の写しを作成し市長に送付するものとする。市長は、市長等又は議員に係る調査請求書と添付資料の写しを調査の請求された日から起算して10日以内に審査会に提出し調査を求めなければならない。

3 審査会は、前項又は第9条第1項の規定により調査を求められたときは、その日から起算して150日以内に調査結果を市長及び議長並びに請求者の代表者に文書で回答しなければならない。

(収入等報告書の提出)

第7条 審査会は、事案の解明のため必要があるときは、市長等又は議員に対し規則に定めるところにより期限を定め収入等報告書の提出を求めることができる。

2 審査会は、前項の規定により提出された収入等報告書に疑義があるときは、提出者等からの事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 市長等及び議員は、審査会から必要な資料として、その配偶者、被扶養者又は同居の親族の収入等報告書の提出を求められたときは指定された期限までに提出をしなければならない。

(調査結果の閲覧)

第8条 市長は、第6条第3項の審査会から回答があった場合は、調査結果を提出された日から起算して30日以内に閲覧に供さなければならない。

2 市長は、前項の規定により調査結果を閲覧に供するときは、閲覧場所及び閲覧期間を告示しなければならない。

(遵守事項違反に対する措置)

第9条 市長及び議長は、第4条に違反している疑いがある場合は、速やかに審査会に調査を求めなければならない。

2 審査会において前項の規定により審査した結果、違反しているとの回答があった場合は、市長及び議長はその結果を市広報紙等で公表するものとする。

(虚偽報告書等に関する措置)

第10条 審査会は、市長等及び議員が第7条第1項の規定による収入等報告書の遅延、提出拒否若しくは虚偽の報告又は調査に協力しなかったと認めるときは、その旨を市広報紙等で公表するものとする。

(刑法事犯による起訴後の説明会)

第11条 市長等又は議員が刑法事犯により起訴され、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求め、自ら説明会に出席し釈明することができる。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、有権者の200分の1以上の連署をもって同項に規定する起訴の日から50日以内に市長等又は当該議員に説明会の開催を請求することができる。

3 市民は、説明会において市長等又は当該議員に質問することができる。

4 前3項に定める説明会の開催及び運営についての手続は別に定める。

(刑法事犯の有罪判決宣告後における説明会)

第12条 市長等又は議員が刑法事犯により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときの説明会の開催等については、前条の規定を準用する。ただし、開催請求の期間は判決の日から30日を経過した日以降50日以内とする。

(刑法事犯の有罪確定後の措置)

第13条 市長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受けその刑が確定したときは、法第127条、第143条及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条第4項の規定により失職する場合を除き、市長等又は議員は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため必要な措置を採るものとする。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

つくばみらい市政治倫理条例

平成19年3月30日 条例第28号

(平成19年4月1日施行)